こんにちは、園芸屋のフタバです。スーパーでキャベツの値段を見て驚いた方も多いのではないでしょうか。一玉500円近くすることもありましたから、毎日の食卓に欠かせない野菜だけに家計へのダメージも大きかったですよね。
そんな時、ベランダや庭のプランターで自分だけのキャベツを育てられたらどんなに素敵だろうと思いませんか。実はキャベツのプランターでの育て方は、いくつかのポイントさえ押さえれば決して難しくありません。
「結球しないで葉っぱだけ大きくなっちゃった」「虫食いだらけで食べられなかった」という失敗談もよく耳にしますが、品種選びや土の準備を工夫するだけで、初心者さんでも驚くほど立派なキャベツが収穫できるんです。
今回は、私が実際に試してよかった方法や失敗しないためのコツを、ギュッと凝縮してお伝えしますね。
- ミニキャベツを選べばプランターでも失敗しにくい
- 初心者は種まきよりも苗から始めるのが最短ルート
- 結球させるカギは追肥と水やりのタイミングにある
- 防虫ネットを使えば無農薬でもきれいに育てられる
初心者向けキャベツのプランターの育て方準備

- 栽培時期は夏まきが成功への近道
- 初心者は種まきよりも苗選びを推奨
- ミニキャベツの品種を選ぶメリット
- 失敗しない土作りと容器の選び方
- 防虫ネットで虫対策を徹底する
栽培時期は夏まきが成功への近道
キャベツをプランターで育てるなら、まずは「いつ始めるか」というタイミングが成功の8割を握っていると言っても過言ではありません。
キャベツには春に種をまく「春まき」、夏にまく「夏まき」、秋にまく「秋まき」といろいろな作型がありますが、私のおすすめは断然「夏まき」です。特に初心者の方がプランター栽培で確実に収穫を目指すなら、この時期を逃す手はありません。
具体的には、7月から8月中旬にかけて種をまくか、8月下旬から9月中旬にホームセンターなどで苗を購入して植え付けを行い、寒くなる11月から翌年の1月ごろにかけて収穫するスケジュールになります。
なぜこの「夏まき・秋冬どり」が良いのかというと、キャベツという植物の性質と日本の気候がバッチリ噛み合うからです。
キャベツは本来、冷涼な気候を好む野菜です。発芽や初期の生育にはある程度の暖かさが必要ですが、肝心の「結球(玉が巻くこと)」のステージでは、15℃〜20℃くらいの涼しい気温を好みます。
夏まき栽培の場合、まだ暑さが残る時期に苗を植えて株を大きく育て、秋になって気温が下がっていくタイミングで結球が始まります。この「徐々に寒くなる」という環境変化が、キャベツにとってじっくりと甘みを蓄え、ギュッと身の詰まった美味しい玉になるための最高のスパイスになるのです。
逆に「春まき」だとどうでしょうか。春まきは2月〜3月にスタートしますが、収穫時期が初夏(6月〜7月)になります。この時期は気温がどんどん上がり、キャベツにとっては暑すぎて苦しい季節。
さらに悪いことに、暖かくなると同時にモンシロチョウなどの害虫が一気に活動を開始します。初心者さんがいきなり春まきに挑戦すると、猛烈な虫の食害に遭ったり、高温多湿で病気になったりと、トラブルの連続になりがちです。まずは失敗の少ない夏まきからスタートして、キャベツ作りの楽しさを体感してみるのが一番の近道ですよ。
初心者は種まきよりも苗選びを推奨
家庭菜園の醍醐味といえば「小さな種から芽が出て、大きく育つ過程を見守ること」ですよね。その気持ち、痛いほど分かります。
でも、ことキャベツに関しては、特に初めての方は「苗」からスタートすることを強くおすすめします。「種から育てたほうが愛着が湧くのに!」と思うかもしれませんが、これには深い理由があるんです。
最大の理由は「育苗(いくびょう)の難易度」です。夏まきの場合、種まきの時期は7月〜8月の真夏。この猛暑の中で、小さなポットに入ったデリケートな赤ちゃん苗を、水切れさせずに、かつ徒長(ヒョロヒョロに伸びること)させずに約1ヶ月間管理するのは、実はプロの農家さんでも気を使う作業なんです。
もしこの時期に管理に失敗してひ弱な苗になってしまうと、その後どんなに頑張って世話をしても、立派なキャベツには育ちません。
最も管理が難しい発芽〜育苗期間をスキップできるため、失敗のリスクが激減する
栽培期間が約1ヶ月短縮されるので、その分病害虫に遭う期間も減る
プランターの数に合わせて、必要な分だけ(例えば2株だけ)無駄なく購入できる
ホームセンターや園芸店で苗を選ぶときは、以下のポイントをチェックしてみてください。これだけで成功率が変わりますよ。
良い苗の選び方チェックリスト
- 本葉の数:本葉が4〜5枚しっかりと展開しているもの。
- 茎の太さ:ヒョロヒョロと細長くなく、ガッシリと太いもの。
- 節間(せっかん):葉と葉の間隔が詰まっているもの。間延びしているのは日光不足の証拠です。
- 虫と病気:葉の裏側を必ず見てください。アブラムシや小さな卵、黒い斑点などがないか確認しましょう。
- 根の状態:ポットの底穴を見て、白い根が見えていれば元気な証拠。茶色く変色してグルグルに回っているのは「老化苗」といって、植え付け後の成長が悪いので避けましょう。
ミニキャベツの品種を選ぶメリット
プランターという限られたスペースで育てるなら、品種選びも大きなポイントです。
「せっかくならスーパーで売っているような大きなキャベツを作りたい!」という野望を持つ方も多いですが、標準的なキャベツ(1.5kg〜2kgクラス)は、根を広く深く張るための土の量が必要ですし、株と株の間隔(株間)も40cm以上は必要になります。これをプランターで再現しようとすると、特大のプランターを用意して1株だけ植える…ということになりかねません。
そこでおすすめなのが「ミニキャベツ」というカテゴリーの品種です。500g〜800g程度の手のひらサイズで完熟するように改良されており、プランター栽培に特化したような特性を持っています。
ミニキャベツの最大のメリットは「密植(みっしょく)ができること」。標準品種なら大きなスペースが必要ですが、ミニキャベツなら株間20cm〜25cm程度で育てられます。つまり、一般的な65cm幅のプランターであれば、無理なく2株、少し詰めれば3株の収穫が目指せるのです。「同じ場所で3倍収穫できる」と考えれば、その効率の良さが分かりますよね。

おすすめの品種としては、以下のようなものがあります。
- このみ姫:驚異的な早さで育つ極早生品種。植え付けからわずか40日程度で収穫できることも。葉が柔らかく、生食に最適です。
- おてがる:その名の通り手軽に育てられる品種。耐暑性があり、作りやすいのが特徴です。
- 甘乙女(あまおとめ):形が良く、甘みが強い品種。コンパクトにまとまるのでプランター向きです。
失敗しない土作りと容器の選び方
キャベツは地上部の葉っぱが大きい分、地下の根っこも深くまっすぐに伸びる「直根性(ちょっこんせい)」の野菜です。
プランター選びで一番大切なのは、広さよりも「深さ」です。浅いプランターだと、伸びてきた根がすぐに底に当たってしまい、ストレスを感じて地上部の成長も止まってしまいます。最低でも深さ30cmはある「深型プランター」を選んであげましょう。
次に土作りですが、キャベツは「酸性土壌」を極端に嫌います。日本の雨は酸性なので、庭の土や使い古しのプランターの土は、放っておくと自然と酸性に傾いていることがほとんど。酸性が強い土でキャベツを育てると、根っこがコブだらけになって腐る「根こぶ病」という恐ろしい病気にかかりやすくなります。
一番確実で安心なのは、市販の新品の「野菜用培養土」を使うことです。これなら最初からpH(酸度)がキャベツに適した6.0〜6.5前後に調整されていますし、初期成育に必要な肥料(元肥)もバランスよく配合されているので、袋から出してそのまま使えます。
もし、手持ちの古い土を再利用したい場合は、植え付けの2週間以上前に準備を始めましょう。土のリサイクル材と一緒に「苦土石灰(くどせっかい)」を混ぜ込んでおくのがポイントです。
石灰は土の酸性を中和してくれるだけでなく、キャベツに必要なカルシウムやマグネシウムも補給してくれます。プランターの土作りについては、こちらの記事でも手順を詳しく解説しているので参考にしてみてください。
防虫ネットで虫対策を徹底する
「キャベツを育ててみたいけど、あのアオムシがどうしても無理…」という理由で躊躇している方も多いのではないでしょうか。確かにキャベツはアブラナ科の野菜なので、モンシロチョウ(アオムシ)、コナガ、ヨトウムシといった害虫たちの大好物です。何の対策もしなければ、あっという間に穴だらけのレース状にされてしまいます。
でも、諦めないでください。「防虫ネット」という強力な武器を使えば、無農薬でも虫食いのないきれいなキャベツを育てることができます。ここで重要なのは、ネットを掛ける「タイミング」と「張り方」です。
まずタイミングですが、「苗を植え付けたら、その場ですぐに」掛けてください。「明日やろう」では遅すぎます。その数時間の間に蝶が飛んできて卵を産み付ける可能性があるからです。苗を植えたその瞬間に、外界と遮断してしまうのが鉄則です。
次に張り方ですが、絶対に隙間を作らないこと。プランターの縁とネットの間に隙間があると、虫はそこから器用に侵入します。洗濯バサミや専用のクリップを使って、ビシッと隙間なく留めましょう。また、ネットが葉っぱに直接触れていると、その上から卵を産み付けられることがあります。
100円ショップなどで売っている「トンネル支柱」を使って、葉っぱとネットの間に空間(エアスペース)を作ってあげるのがプロの技です。
最近では、銀色のラインが入っていて光の反射で虫を遠ざけるネットや、ネットの上からそのまま水やりができる便利なタイプも販売されています。これらを活用すれば、毎日の管理もストレスフリーになりますよ。
実践的なキャベツのプランターの育て方手順


- 植え付けのコツは浅植えにあり
- 追肥と水やりで結球を確実に促す
- 葉が巻かない原因と対策を解説
- 収穫タイミングは球の固さで判断
- 収穫後の再生栽培で二度楽しむ
- キャベツのプランターの育て方の総括
植え付けのコツは浅植えにあり
苗と土の準備が整ったら、いよいよ植え付けです。ここで多くの人がやってしまいがちな失敗が「深植え」です。苗が倒れないようにと深く植えたくなりますが、キャベツの場合、これはNG。茎の部分が土に深く埋まると、そこから腐ったり、病気が入ったりしやすくなるからです。
正しい植え方は「浅植え」です。ポットから苗を優しく取り出したら、根鉢(根と土の塊)の上面(肩の部分)が、プランターの土の表面と同じ高さ、もしくはごくわずかに高くなるくらいの位置にセットします。植え穴を掘りすぎないように注意しましょう。
植え付けの手順は以下の通りです。
- 吸水処理:植え付ける1〜2時間前に、苗をポットごとバケツの水に浸し、根鉢にたっぷりと水を吸わせておきます。これで植え付け後の活着(根付き)がスムーズになります。
- 穴掘り&定植:プランターに根鉢が入るサイズの穴を掘り、苗を置きます。
- 土寄せ&鎮圧:周りの土を寄せ、株元を手で軽くギュッと押さえて、根と土を密着させます。これを「鎮圧(ちんあつ)」と言います。
- 水やり:最後に、プランターの底から水が溢れ出るくらいたっぷりと水をあげます。
ちなみに、植え付けを行う時間帯も重要です。晴れた日の真昼間に植えると、急激な蒸散で苗がしおれてしまうことがあります。
おすすめは、日差しが弱まる夕方や、曇りの日です。これなら夜の間にゆっくりと新しい土に馴染むことができます。植え付けの時間帯についてもっと深く知りたい方は、こちらの記事もチェックしてみてください。
追肥と水やりで結球を確実に促す
キャベツ栽培で最も緊張するのが「ちゃんと玉になるか(結球するか)」ですよね。
実は、キャベツが結球するかどうかは、結球が始まる前に「いかに外側の葉っぱを大きく、枚数を多く育てられたか」にかかっています。外葉は光合成を行うソーラーパネルのようなもの。このパネルで作られた養分が中心部に送られることで、新しい葉が内側で育ち、玉になっていくのです。
そのためには、肥料切れと水切れは厳禁です。キャベツは「肥料食い」と呼ばれるほど、成長にたくさんのエネルギーを使います。
追肥の黄金スケジュール
| 回数 | タイミング | 目的とポイント |
|---|---|---|
| 1回目 | 植え付けから2〜3週間後 | 【外葉育成期】 本葉が10枚くらいになった頃。この時期の肥料は、ソーラーパネルとなる外葉を大きくするために使われます。化成肥料10g(軽く一握り)を株の周りにまき、土と混ぜて株元に寄せます。 |
| 2回目 | 植え付けから5〜6週間後 | 【結球開始期】 芯の葉が立ち上がり始めた頃。ここが最重要タイミングです。ここで肥料が切れると、巻くためのパワー不足になり、小さな玉で終わってしまいます。同様に肥料をまき、しっかりと土寄せをして株を安定させます。 |
そして水やりも非常に大切です。「キャベツは乾燥を好む」という情報を目にすることもありますが、それは「根腐れしやすいので水はけを良くしよう」という意味であって、水がいらないわけではありません。むしろ、あの巨大な葉っぱからは毎日大量の水分が蒸発しています。
土の表面が乾いたら、プランターの底から水が出るまでたっぷりとあげてください。特に、結球が始まって玉が肥大していく時期に水切れさせてしまうと、玉が大きくならなかったり、葉が硬くなったりします。メリハリのある水やりを心がけましょう。
葉が巻かない原因と対策を解説
「大きな葉っぱは育ったのに、中心がいつまでたっても巻かない…」これはプランター栽培で非常によくある悩みです。いわゆる「結球不良」ですが、これには明確な原因があります。自分の環境に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
収穫タイミングは球の固さで判断
順調に育って玉が丸くなってきたら、いよいよ収穫です。でも、見た目だけでは中身が詰まっているかどうかわかりませんよね。収穫の適期を見極めるプロの技は、ズバリ「触感(手で触った硬さ)」です。
結球している玉の頭頂部を、手のひらで上から軽く押してみてください。まだフカフカと弾力を感じるうちは、中身が隙間だらけの証拠(未熟)です。もう少し我慢して育てましょう。
日が経つにつれて中身が充実し、押してもへこまないくらい「カチカチ」に固く締まってきたら、それが収穫のベストタイミングです。包丁で株元を切り取って収穫しましょう。
ただし、注意点もあります。カチカチになっているのに「もっと大きくなるかも」と欲張って畑に置いておくと、雨が降った翌日などに「バリッ!」と玉が割れてしまうことがあります。これを「裂球(れっきゅう)」と言います。割れるとそこから傷んでしまうので、固く締まったら適期を逃さずに早めに収穫するのが美味しく食べるコツですよ。
収穫後の再生栽培で二度楽しむ
収穫が終わったら、プランターを片付けて…ちょっと待ってください!実はキャベツは生命力が非常に強い野菜で、収穫した後も「再生栽培(リボベジ)」を楽しむことができるんです。
やり方はとても簡単です。収穫する際、根っこを引き抜かずに、地際から茎を5cm〜10cmほど残して玉の部分だけを切り取ります。残った茎と根っこに対して、今まで通り水やりと少量の追肥を続けてみてください。
すると数週間後、茎の切り口や残った外葉の付け根あたりから、小さな可愛い「脇芽(わきめ)」がポコポコといくつも出てきます。これをそのまま育てると、結球しない「葉キャベツ」として収穫できますし、うまくいけばピンポン玉〜テニスボールサイズの小さな「ミニミニキャベツ」ができることもあります。
最初の1個のような立派な玉にはなりませんが、柔らかい春キャベツのような食感で、サラダの彩りやお味噌汁の具には十分すぎるほどの収穫になります。一度の植え付けで二度美味しい、家庭菜園ならではの楽しみ方なので、ぜひプランターを片付ける前にチャレンジしてみてください。
キャベツのプランターの育て方のまとめ
最後に、キャベツのプランター栽培の重要ポイントをまとめました。これさえ守れば、あなたも立派なキャベツ農家です。
- 栽培時期は害虫が減り、寒さで甘みが増す「夏まき(秋冬どり)」が最も失敗が少ない
- 初心者は温度管理が難しい種まきを避け、プロが育てた「苗からの栽培」を選ぶのが正解
- プランター栽培には、省スペースで密植ができ、早く育つ「ミニキャベツ」が最適
- 土は酸性土壌を嫌うため、市販の培養土を使うか、苦土石灰でしっかり酸度調整を行う
- プランターの深さは、直根性の根をしっかり張らせるために30cm以上を確保する
- 植え付け直後から防虫ネットを隙間なく張り、物理的に虫をシャットアウトする
- 植え付け時は深植えを避け、根鉢の肩が見えるくらいの浅植えにして腐敗を防ぐ
- 結球には外葉の成長が不可欠なので、追肥と水を切らさず「ソーラーパネル」を育てる
- 特に結球開始期(芯が立つ頃)の2回目の追肥が、玉の大きさや充実度を左右する
- 水やりは土の表面が乾いたら、鉢底から水が溢れるまでたっぷりと与えるメリハリが大事
- 結球しない主な原因は、肥料不足、日照不足、適温外、そして外葉の枚数不足にある
- 収穫適期は見た目の大きさではなく、球を上から押したときの「カチカチ」という硬さで判断する
- 固く締まったら、雨などで急激に吸水して裂球(割れる)する前に早めに収穫する
- 収穫後も根を残しておけば、脇芽から2番キャベツ(再生栽培)が楽しめてお得
- 2025年のように野菜価格が高騰しても(出典:農林水産省『野菜の生育状況及び価格見通し』)、自家栽培なら家計を守りながら新鮮な味を楽しめる









