夏が近づくと、スーパーの野菜売り場に並ぶツヤツヤとした濃い紫色のナス。家庭菜園で夏野菜といえば、やはりナスを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
「自分で育てた採れたてのナスで、とろとろの焼きナスや揚げ浸しを作ってみたい!」そんな素敵な目標を持つあなたへ。
でも、いざ栽培を始めようと思うと、「ナスの育て方は初心者には難しいのかな?」「種から育てるのと苗から育てるのは、具体的に何が違ってどっちが良いの?」と、疑問や不安が尽きませんよね。
実は、ナスは「水と肥料」という2つの管理ポイントさえしっかりと掴めば、畑がなくてもプランターで秋まで長く収穫を楽しめる、とてもコストパフォーマンスの良い野菜なんです。
この記事では、これから家庭菜園を始める初心者の方でも安心してスタートできるよう、それぞれの栽培方法の違いや、失敗しないためのプロのコツを、分かりやすく優しく解説していきますね。
- 種からと苗からのメリット・デメリットの違いが明確になる
- 初心者におすすめの失敗しないスタート方法が分かる
- 長く収穫するための剪定や追肥のコツをマスターできる
- プランター栽培で気をつけるべき水やりの重要性が分かる
初心者はどっち?ナスの育て方を「種から」と「苗から」で比較

- 確実な収穫を目指すなら「苗から」始めるのがベスト
- 多様な品種を楽しみたい人は「種から」栽培に挑戦
- 丈夫な「接ぎ木苗」を選んで病気のリスクを減らす
- 良い苗を見極めるためのチェックポイントと購入時期
これからナス栽培を始めるにあたって、最初の大きな分かれ道となるのが「どの段階から育て始めるか」という選択です。結論から先にお伝えすると、初めて家庭菜園に挑戦する方や、絶対に失敗したくない方には「苗からのスタート」を強くおすすめします。
なぜなら、ナスは発芽してから畑やプランターに植え付けできる大きさになるまでに、とても長い時間と、繊細な温度管理が必要になる植物だからです。それぞれの方法にどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。


採れたてのなすはずっしりと重くて美味しいですよ!
確実な収穫を目指すなら「苗から」始めるのがベスト


家庭菜園デビューの方にとって、苗から育てる方法は最も安心かつ確実なルートといえます。実は、ナスの育苗期間(種まきから植え付けまで)は約70日〜80日と非常に長く、これは夏野菜の中でもトップクラスの長さです。プロの農家さんでも、この期間の管理には最も気を使います。
ホームセンターや園芸店で販売されている苗は、一番弱くて管理が難しい「赤ちゃん時代」を、プロの手によって無事に乗り越えてきたエリートたちです。そのため、購入して植え付けた後の失敗が極めて少なく、スムーズに収穫までたどり着きやすいという大きなメリットがあります。
5月のゴールデンウィーク頃にホームセンターで気に入った苗を購入し、すぐに植え付けができる手軽さは、仕事や家事で忙しい現代の女性にとっても、非常に嬉しいポイントですよね。
多様な品種を楽しみたい人は「種から」栽培に挑戦
一方で、あえてハードルの高い「種から」育てることにチャレンジする楽しさも、もちろんあります。その最大の魅力は、なんといっても選べる品種の圧倒的な多さでしょう。
一般的なスーパーや苗売り場ではなかなか見かけない、真っ白な「白ナス」や縞模様が可愛い「ゼブラナス」、あるいは「泉州水なす」や「賀茂ナス」といった地域特有の伝統野菜を育ててみたい場合、苗が手に入らないことが多いため、種から育てる必要があります。また、種は一袋に入っている数が多いので、広い畑で何十株も育てたい場合には、1株あたりのコストが苗を買うより断然安くなるという利点もあります。
ナスは原産地がインドなどの熱帯地域であるため、寒さが大の苦手です。種まきの適期は2月〜3月ですが、発芽するためには25℃〜30℃という高い地温を維持する必要があります。
日本の春先の気温(5℃〜10℃)では全く足りないため、専用のヒーターマットや温室などの加温設備が必要になります。
この温度管理の難しさは専門的な知識を要するため、初心者の方はまず苗作りよりも、収穫までの栽培管理に慣れることを優先したほうが良いでしょう。
丈夫な「接ぎ木苗」を選んで病気のリスクを減らす


いざ苗売り場に行くと、同じナスの苗でも「自根苗(実生苗)」と「接ぎ木苗」という2種類が並んでいることに気づくかもしれません。値段を見ると接ぎ木苗の方が少し高いですが、家庭菜園では迷わず「接ぎ木苗」を選ぶことをおすすめします。
接ぎ木苗とは、病気に強い別の品種の根っこ(台木)に、美味しい実がなるナスの品種(穂木)をつなぎ合わせた、いいとこ取りの苗のことです。
| 比較項目 | 自根苗(実生苗) | 接ぎ木苗 |
|---|---|---|
| 価格 | お手頃(100円前後〜) | 高め(300円前後〜) |
| 病気への強さ | 弱い(特に青枯病などの土壌病害) | 強い(台木の力で病気を防ぐ) |
| 連作 | 4〜5年は同じ場所で作れない | 同じ場所でも比較的育ちやすい |
日本の家庭菜園のように限られたスペースでは、どうしても毎年同じ場所や同じ土でナス科の野菜を育てることになりがちです。そうすると土の中の病原菌が増えて「連作障害」が起きやすくなりますが、接ぎ木苗ならそのリスクを大幅に減らし、安心して育てることができるのです。
良い苗を見極めるためのチェックポイントと購入時期


良い苗を選ぶことは、その後の成長スピードや収穫量を決める最初にして最大の一歩です。元気な苗を見分けるには、以下のポイントをじっくり観察してみてください。
- 双葉(子葉)が残っているか:一番下の小さな双葉が緑色で残っているのは、幼苗期にストレスなく健康に育った何よりの証拠です。
- 節間が詰まっているか:茎がヒョロヒョロと長く伸びておらず、葉と葉の間隔(節間)がギュッと短いものが丈夫な苗です。
- 蕾が見えているか:一番最初の花の蕾が中心に見え始めている頃が、植え付けのベストタイミングです。老化していない若い苗を選びましょう。
- 葉の裏を確認する:葉の裏側に小さな虫がついていないか、病気の斑点がないか、忘れずにチェックしてください。
購入時期については、十分に暖かくなった5月上旬〜中旬が最も安心です。早く植えたい気持ちから4月に植えてしまうと、遅霜や寒さで苗が弱ってしまい、回復に時間がかかることがあるので注意してくださいね。
失敗知らず!基本のナスの育て方と管理のコツ


- 植え付け準備!土作りとプランター選びのポイント
- ぐんぐん育つ!水やりと追肥のタイミングをマスター
- 3本仕立てとわき芽かきで日当たりと風通しを改善
- 長く楽しむための「更新剪定」で秋ナスを狙う方法
- 葉の様子がおかしい?よくある病害虫と対策を知る
- 初心者でも安心!ナスの育て方のまとめと成功の鍵
良い苗が手に入ったら、いよいよワクワクする栽培のスタートです。「ナスの育て方」で最も重要なのは、ナスが野菜の中でも特に「水と肥料が大好き」という性質を理解してあげることです。ここからは、具体的なお世話の方法について、順を追って詳しく見ていきましょう。
植え付け準備!土作りとプランター選びのポイント


ナスは地上部が大きく育つだけでなく、根も地中深く広範囲に張る植物です。そのため、プランターで育てる場合は、土がたっぷりと入る「深型(容量20リットル以上、深さ30cm以上)」のものを選びましょう。小さな鉢では、夏場にすぐに水切れを起こして枯れてしまいます。
土は、市販の「野菜用培養土」を使うのが一番手軽で確実です。最初から肥料が含まれているものを選べば、初期の生育はバッチリです。畑の場合は、植え付けの2週間以上前に苦土石灰をまいて酸度を調整し、たっぷりと堆肥を混ぜ込んで、ふかふかのベッドを作っておきます。
植え付ける際は、ポットの土の表面が、周りの土と同じ高さか、ほんの少し高くなるように「浅植え」にするのがポイントです。深く植えすぎると茎が腐る原因になります。また、植え付け直後は風で倒れやすいため、仮支柱を立てて茎を優しく固定してあげると活着が良くなります。
ぐんぐん育つ!水やりと追肥のタイミングをマスター


「ナスは水で作る」という格言があるほど、ナスの実は90%以上が水分でできており、大量の水を必要とします。特にプランター栽培では土の量が限られているため、真夏は朝の1回だけでは足りず、夕方にも水やりが必要になることが多いです。
水不足になると、実の表面からピカピカのツヤがなくなり、「石ナス」と呼ばれる硬くて美味しくない実になってしまいます。土の表面が乾いていたら、鉢底から水が流れ出るまで、たっぷりと惜しみなくあげてくださいね。
ナスは春から秋まで長期間実をつけ続けるため、ものすごいスピードでエネルギーを消費します。肥料切れ(スタミナ切れ)は収穫量減の直結します。
一番最初の実がなり始めたら追肥をスタートし、その後は2〜3週間に1回、定期的に化成肥料などを与えましょう。
肥料が足りているかどうかは、花を見れば一目で分かります。雌しべ(真ん中の棒)が、周りの雄しべ(黄色い部分)より長く飛び出していれば健康です。逆に短く隠れてしまっている場合は「肥料不足」のサインなので、すぐに追肥と水やりを行いましょう。
3本仕立てとわき芽かきで日当たりと風通しを改善


ナスは成長力が旺盛で、放っておくと枝葉が混み合い、ジャングルのようになってしまいます。そうなると日当たりが悪くなり、病気や害虫の原因になってしまいます。そこで行うのが「3本仕立て」というプロも行う整枝作業です。
中心となる「主枝」と、一番花(最初に咲いた花)のすぐ下にある勢いの良い「2本のわき芽」を残し、それ以外のわき芽はすべて摘み取ります。こうして枝を「V字状」に広げることで、株の内側までしっかりと太陽の光が届き、色ツヤの良い美味しいナスが育ちます。
それより下のわき芽は、栄養を奪ってしまうだけなので、小さいうちに手で摘み取ってしまいましょう。これを「わき芽かき」と言います。少し可哀想に感じるかもしれませんが、美味しい実を収穫するための大切な作業です。
長く楽しむための「更新剪定」で秋ナスを狙う方法


夏の間たくさん実をつけてくれたナスも、8月の猛暑を迎えると株がお疲れ気味になり、実の皮が硬くなったり、花の数が減ったりします。ここでひと手間かけることで、秋にまた極上の「秋ナス」を収穫できる魔法のテクニックが「更新剪定(こうしんせんてい)」です。
7月下旬から8月上旬頃、思い切って枝を全体の2/3から1/2くらいの高さまで切り戻します(カットします)。同時に、株の周りにスコップをザクッと入れて古い根を切り、そこに新しい肥料と水を与えます。「根を切る」ことで植物に刺激を与え、新しい根の発生を促すのです。
こうして株をリフレッシュさせることで、涼しくなった9月頃から再び若々しい枝が伸び、皮が薄くて甘みのある絶品の秋ナスが収穫できるようになりますよ。
葉の様子がおかしい?よくある病害虫と対策を知る


美味しいナスは、人間だけでなく虫たちにも大人気です。特に注意したいトラブルと対策について、Q&A形式でまとめました。
- 葉っぱに白い点々がついたり、色が抜けたりしています。
-
ハダニの可能性があります。梅雨明け後の乾燥する時期に発生しやすい害虫です。ハダニは水に弱いため、水やりの時に葉の裏側にも水をかける「葉水(はみず)」をこまめに行うと、薬剤を使わずに予防できます。
- 新芽に小さな虫がびっしりついています。
-
アブラムシでしょう。新芽の汁を吸って株を弱らせるだけでなく、ウイルス病を運んでくる厄介者です。見つけ次第、粘着テープなどで取り除くか、食品成分由来の安心なスプレーなどで早めに対処しましょう。
また、最も怖いのが「青枯病」などの土壌病害です。昼間に急に株全体が萎れて、夜には戻る…という状態を繰り返し、やがて枯れてしまいます。発病すると治療法がないため、残念ですが土ごと処分して、他の野菜への感染を防ぐ必要があります。やはり最初の段階で病気に強い「接ぎ木苗」を選んでおくことが、最大のリスク管理になります。
初心者でも安心!ナスの育て方のまとめと成功の鍵


ナス栽培は、いくつかの重要なポイントさえ押さえれば、決して難しくありません。最後に、これまでの重要ポイントを整理しておきましょう。
特に「ナスの育て方」で迷ったら、無理をせず基本に忠実な方法を選ぶことが長続きの秘訣です。
- 初心者は失敗のリスクが低い「苗から」の栽培を選ぶ
- 病気に強く連作障害を避けられる「接ぎ木苗」がおすすめ
- 苗選びは葉の緑が濃く、茎が太いガッチリしたものを選ぶ
- 植え付けは十分に暖かくなった5月に入ってから行う
- プランターは土がたくさん入る深型を用意する
- 水切れは厳禁、夏場は朝夕の土の乾きチェックを欠かさない
- 肥料食いなので、2〜3週間に1回の追肥を忘れない
- 一番花より下のわき芽はすべて摘み取り、栄養を集中させる
- 「3本仕立て」で日当たりと風通しを良くし、病気を防ぐ
- 真夏の「更新剪定」と根切りで、美味しい秋ナスの収穫を目指す
- 葉の裏への水やり(葉水)でハダニを予防する
- 花の雌しべの長さを見て肥料不足をチェックする
- 連作を避けるか、接ぎ木苗で対策をする
- 一番果は早めに収穫して株の負担を減らす
- 愛情を持って毎日観察することが一番の肥料
自分で育てた採れたてのナスの味は、スーパーで買うものとは比べ物にならないほど格別です。皮も驚くほど柔らかく、焼くだけでとろけるような食感を楽しめますよ。ぜひ、今年の夏は家庭菜園でナス作りにチャレンジして、豊かな食卓を楽しんでくださいね。









